子供が大人を信頼する基準は「対等に接してくれるかどうか」〜宿泊学習の話

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※2019年9月10日に書いたものです※

夏休みがあけました。

こちらの夏休みは長いと聞いていたけど、Kの学校は始まりが少し早くて…以前いた地域とさほど変わらなくて。

だからKは、夏休みが終わる少し前からちょっと不機嫌でした。

宿泊学習に参加するかしないか

夏休みがあけてすぐ、支援学級のみんなで行く宿泊学習がありました。

Kは夏休み前からすごく楽しみにしていて。
私は正直、「本当に行けるの?大丈夫?」と思っていました。

だって今の状態を考えたら、たとえ1日でも離れるなんて…とてもムリなんじゃないかって。
でも、Kは「行く」と…はっきりと。

楽しみにしているからには、目いっぱい楽しんでほしい。
でも、1日親と離れたことなんてほとんどないに等しいし、すべてがすべて誰かが手助けしてくれるわけでもない。

だから行くと決めてからのKは、自分なりに宿泊学習へ行っても心配がないように、色々なことをがんばっていました。

Kの課題はおもに、自分の身の回りのこと。

不器用さと体幹の弱さ、体の使い方がわからない、定着しにくい…あげたらキリがないけど、生きていくうえで必要なことを身につけるのが今一番の課題だと、私は思っています。

いつか私から離れられるように。

トイレは引っ越してきてから少しずつ、介助なしで拭けるようになりました。(大の方)
今は一人前になったかな?という感じです。

次に大きな課題は、お風呂。
お風呂は閉鎖空間が苦手で不安が大きいのと、自分で洗うことがまだできていないので、少しずつ練習してきていました。

これもひとまず、1泊くらいなら大丈夫かなというくらいに、一人でひと通りこなせるようになりました。
まだ一人では入れませんが…宿泊では複数で入るから大丈夫だろう、と。

一番の大きな課題は、寝るときです。
もともと不安が大きく、一人で寝ることができません。

それに加えて、学校に行けなくなってしまったことや昨年の大きな地震で不安が強くなり、余計に誰かがいないと寝ることができなくなっていました。

同じ布団で、人にくっついてしか寝られません。

「宿泊では一人一つのお布団だから、一人で寝られないと行くのは難しいよ」と、私は正直に伝えました。

Kは「それなら練習する」と…それから「一つの布団で一人で寝る」ことができるように、練習をはじめました。

さすがに部屋で一人で寝ることはムリなので(いずれはそうなってほしいけど)、だいぶハードルは下げました。

布団を分けて、ぬいぐるみ、常夜灯はOKにして…でも最初はなかなか寝られず。
数日は寝つきが悪かったです。

それから常夜灯を消し、ぬいぐるみを抜き…と段階的にステップアップできるようにして。
すると、なんと1週間ほどで、すんなりと寝られるようになりました。

ここまでできるようになるとは思ってもいませんでしたが、Kを見ると自信がついたようすでうれしかったです。

そんな感じで、いよいよ宿泊学習当日になりました。

子供が安心するならと考えた選択肢

当日は朝早かったのに、きちんと起きました。でも緊張しているようす。
「ドキドキする」と言いながら学校へ行きました。

数日前から妙にトイレに行くようになっていて、緊張しているんだなとはわかっていたけど…それでも「行きたい」が勝ったんだなぁと。
先生にも緊張していることは伝えました。

今回Kが行けた一番の理由は、「Kの宿泊先の近くに私が泊まることにしたから」だと思います。

行きたい、でも家族と離れるのは不安。
その不安で諦めさせたくなかった。行きたいのに行けないって悲しい思いはさせたくなかったから。

Kが最初に「宿泊学習に行きたい、でも不安」って言ったときに、「じゃあママが泊まるところの近くまで行ったらどうかな?何かあってもすぐ行けるくらいの場所に泊まれば、安心じゃない?」って提案して。

そう言ったときのKの顔がとてもうれしそうだったのを覚えています。
これで安心して行けるなら、そうしようと私も思いました。

以前の私だったら「別に行かなくてもいい」って思ってた。

「別に行けなくたって、家族で行けばいいじゃん」とか、Kが学校へ行けなくなってからずっと、「別に学校じゃなくても、集団じゃなくても学べる」って思いがあって。
でもそうじゃなかった。

これは個人的に思ったことだけど、家族以外の誰かといろんなことを経験するのはすごく大事で。
子供の経験値になっていくんだって…。
経験を積むことが、自信につながるんだって…。

必ずしも学校じゃなくても違うコミュニティがあったら、そういう場で経験できるかもしれない。

それを探して積極的に社会と関わっていくことが親の役目なのかもしれない。けど。
子供にとって経験値となる学びもできるのが学校なんじゃないかって、思って。

ここはKが不登校になってから見失っていた部分です。
学校なんていらないとまで思っていた時期もあったから。

もちろん、子供が不登校になったら自己責任な仕組みはおかしいと、今でも思っています。

でも本人が「行きたい」って言ってるのに、「別に行けなくてもいいよ」って言うのは私の中ではすごく無責任だなって思って。
だからちょっとのことでクリアになるなら、お金はかかるけど近くに泊まろうって思いました。

「お金には変えられないものがある」は本当にそうだなって、最近つくづく思います。

無事に1泊2日の宿泊学習に行けた!

近くまで行くからにはせっかくだから楽しもうと思って、私は1日、Kが泊まる場所の近くを上の子Tと観光しました。
頭の片隅にはずっと「大丈夫かな」って気持ちがあったけど。

翌日、無事に帰ってきました。

だいぶ疲れたようすだったけど、達成感のある顔をしていました。

でも一番の不安材料だった夜は、やっぱり難しかったみたいです。

先生は「書く時間どこにあったの?」というくらいたくさんの出来事を、Kのしおりに書きしるしてくれていました。

「今度ゆっくりお話しますが、しおりに書いておいたので帰ったらご覧くださいね」って。
家に帰って読むと、こんなことが書いてありました。

※ちなみに宿泊学習では一部屋につき先生が一人、夜も一緒です。これは支援学級だからこその配慮だと思います。

「夜寝るまでは本当に完璧でした。バスでも盛り上げていたり、とても楽しそうにしていました。
でも布団に入ってしばらくして、泣いてしまって…寂しいと。
やっぱり寂しい、不安な気持ちが押し寄せてきたんだと思います。
ずっと眠れず、泣いていて…少しでも紛れるように、YouTubeの動画を少し見ようと提案して、一緒に見ました。

それから少ししてやっと眠れたようすでしたが、1時間おきに目が覚めていたようです。
どうしても寂しかったのか、最終的には私と同じ布団で寝ました。それで少し気が紛れたようです。(※先生は同性です)
二日目は歩くことも多かったので疲れているようすでしたが、友達と一緒に乗り物に乗ったりして、楽しく過ごしました。」

やっぱり一番の不安を乗り越えるのはとても大変だったようです。

宿泊が終わってすぐ、先生と話す機会があったので詳しい話を聞いてきました。
聞けば聞くほど、先生には感謝の気持ちでいっぱいです。

子供と同じ目線を持つことの意味

先生と以前話した中で、印象に残っていることがあって。

「子供の興味や好きなことの話題についていけるように、子供に人気のYouTubeを見たりしています」と。

先生が宿泊学習で一緒にYouTubeを見せてくれたのは、先生なりの最大限の配慮だったんだなーって。
きっと眠れなかったあのとき、少しでも気が紛れたと思うから、本当にありがたかった。

こういう先生に今まで出会ったことがありませんでした。
「子供の流行はわからない」という先生にしか、出会ったことがなかったから。

小さなことかもしれないけど、子供が大人を信頼する基準ってこういうところじゃないかなって思うんです。

子供って、深く考えていないようで、すごく考えてる。
だから大人が発する言葉や態度は見抜いているんだと思います。

誰かのツイートで、「子供に信頼される先生になるには、まず好かれる努力を」みたいなのを見たことがあって。

でもそれはもちろん、媚び売ったり物で釣ったりすることじゃない。

子供と対等になることだと…それはKの担任の先生が心がけている、「子供の話題についていく」こともひとつなんじゃないかなって思います。

そしてこれは、先生だけでなく親とか、大人全体に言えることなんじゃないかなって。

私は子供たち二人との関係はすごくいいです。

これはたぶん、先生と同じように「子供が興味を持つことに対して意欲的」だというのが理由のひとつにあると思います。

そういうところから必然的に子供と会話することができています。

例えば子供が「これ知ってる?」って聞いてきたとして。
「知らない」と答えればそこで会話は終わるし、子供は「この人に話しても聞いてもらえないな」って思っちゃう。

でも「知らない、じゃあ教えて」となると話は広がるし、知っていればもっと話は広がって、「この人は話を聞いてくれる」ってきっと子供は思うんじゃないかなと。

子供にとっての信頼できる大人って、対等に話をしたり、共有したりしてくれる人、なんじゃないかなぁって思います。

子供は単純に見えるかもしれないけど、大人をすごく見ている。
だから子は親に似るし、信頼できる大人が周りにいなかったら、それは子供にとって絶望なんだと。

Kはきっと、少しずつ学校の先生への信頼を取り戻しつつあるのかもしれません。
3年生のとき何があったか、今でも詳しく聞けていないし推測しかできない。

でも前よりも前向きになれていることは確かだと思うから、これからもムリせずに過ごしてほしいです。

元気休みでまたがんばれる

宿泊学習のあとは数日休みました。

だいぶがんばったと思うし、エネルギーを使い果たしたところでまたムリに行かせてしまうと、きっとまた行けなくなる。

同じことの繰り返しはしたくないから、またエネルギーを充電できるように。
これを機に、少しずつ学校へ行く時間を増やして…ということはしないです。

そりゃ本音としては行ってくれた方が楽だけど、ママのためにとか先生のためにとか思ってほしくない。
誰かのためじゃなく、自分のために。

K自身が自分のために、自分で考えて行動できるように、サポートしていけたらと思います。

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